抄録
メニエール病患者の性格特性を知るためにMPI(Maudsley Personality Inventory)をメニエール病例44例と, 対照めまい例166例に実施した.
結果の分析は明瞭な性格特性を示していた. すなわち, メニエール病例は, 自己防衛的で, 潜在的心身症的傾向はあるが十分抑制されており, 活動はてきぱきとしており, 対人的にも仕事の面でも現実適合性を示す. 神経症的傾向, 劣等感, 不安感及び抑うつ感は乏しい.
このような性格特性では, ストレスに対する心身的許容水準が, 他のめまい例に比べて低いのではなく, むしろ高いレベルを持つているのであるが, その高い許容レベルを越えた以上の精神的及び身体的活動をするために遂にはメニエール病めまい発作をひき起こすようになるものと考えられた.