抄録
「めまい」の発症機転や原因は極めて多彩であるから, 診断や治療が適切でないと患者は長期間めまいに苦しみ, 多くの医療機関を転々とする. このように病因そのものよりも, 診断や治療に盲点がある「めまい」もまた, 難治性といえる.
目的: 昭和51年度の我々のめまいセンター新患1411例を統計処理し, 難治性めまいの病態と, 難治性である理由を解明した.
結果: 当センターの疾患別分類では頸性めまい, 起立性調節障害, 精神心因性めまいが高頻度であり, 他の医療施設の疾患頻度との比較から, これらの疾患が一般には診断手順の省略から「めまい症」として処理されていることが明らかになつた. そのため, これらの疾患は罹病期間も長くなり, 神経症的傾向に陥りやすいことも判明した.