医療
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天木 一太武尾 宏
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1981 年 35 巻 11 号 p. 988-992

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抄録
水平層流式無菌病室を用いた急性白血病の治療と本病室の運営方法ならびに患者の治療成績について述べる. 無菌病室での抗白血病療法は一般病室例と同一のプロトコールに従つており, とくに抗白血病剤の増量は行つておらず, 緩解率, 緩解導入期間, 緩解持続期間などには, 開放病室例との間に差はみられなかつた. 感染症の予防効果をみるために好中球数と発熱期間との関係について, 開放病室例と比較したところ, 無菌病室例に発熱出現頻度の低下が認められた. 入室患者12例中1例に内因性感染と思われる敗血症が認められた外, 原因不明の発熱が2例みられたが, 開放病室で多発する肺感染症は認められなかつた. 患者常在菌叢のうち, 糞便中の細菌動態は検索しえなかつたが, しらべえた範囲では咽頭と肛門周囲の細菌が種類, 量ともに多く, 今後これらの部位への対策が重要と考えられる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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