抄録
多発性筋炎(および皮膚筋炎)は膠原病の一構成疾患とされる. しかし, 本疾患が自己抗体をもち, 真に自己免疫疾患としての性格が明らかにされたのはごく最近になつてからである. 著者らは本症の臓器特異性自己抗体として抗ミオグロビン抗体を発見し発表してきた. また最近本症には多様な抗核抗体が存在することが明らかになつてきた. 本稿では中でも皮膚麓炎に特異性の高いMi-1抗体と多発性筋炎に特異性の高いJo-1抗体について解説する. これらの個々の抗体が臨床的に, 特に診断, 治療, および予後などの而でどのような意義を有しているかを検討してゆくことが本症の理解を深める上にきわめて重要な事柄と考えられる.