抄録
慢性関節リウマチに対し, 金塩は有効な抗リウマチ剤として重要な位置を占めている. しかしその効果の発現までにある程度の量が体内に蓄積される必要があり, 体内から消失すると, 症状の再増悪が見られること, 効果を維持するためには, ある程度の量の金塩の注射が続けられなければならないことなどが明らかにされている.
血清中金濃度測定により, 投与量の決定や副作用の防止の上で, 何らかのより所を得ることが出来るのではないかと考え, 金投与中の慢性関節リウマチ44例について, 血清中金濃度を測定し, これと有効性, 副作用発現との関係について検討した.
2週1回25mg投与で, 2週目の血清中金濃度が80μg/dl以上を示した全例が有効であつたので, この投与法では血清中金濃度が有効性推定の示標になり得るものと考えられた. 血清中金濃度, 総投与量と副作用発現との間には, 特に相関は認められなかつた.