医療
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コレステリン胸膜炎の1症例
佐藤 正典野田 辰男
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1981 年 35 巻 4 号 p. 353-356

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抄録
コレステリン胸膜炎が独立した疾患か随伴性疾患かは別にしても慢性滲出性胸膜炎の臨床像を呈することは事実である. 鑑別診断では胸水中にコレステロール結晶を証明すれば簡単であるが, 臨床上接する機会も非常に少ないため常に本症を念頭におかねばならない. 最近, 我々は28才の男性で胸部X線写真にて右全胸水型を呈するコレステリン胸膜炎の1例を経験したので報告する. 水封式胸腔ドレナージにて肺の再膨脹も良好で短期間(約1ヵ月間)のうちに治癒せしめ, 早期社会復帰させることができた. コレステロール結晶の出現機序について我々は病的胸膜と胸水に求め局所性因子が関与しているものと推察するが, 従来の文献以上の新知見を得ることはできなかつた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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