医療
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進行肺癌の免疫療法
大田 満夫広田 暢雄安元 公正田中 康一一瀬 幸人八板 英道
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1981 年 35 巻 9 号 p. 799-802

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抄録
我々は進行肺癌に対して, 普通の肺癌治療終了後, BCG-CWSあるいはNocardia-CWSを用いた免疫療法を行つた.
治療前の細胞性免疫能は, 肺癌の進展例程低下していたが, BCG-CWS療法により低下例程よく増強された. BCG-CWS治療後4ヵ月目のリンパ球のcytotoxicityとPHA反応性の値の高い症例程, その予後が良好であつた.
BCG-CWS免疫療法群において, 対照群に比し, II期, III期, IV期ですべて有意の延命効果が認められた.
癌性胸膜炎例に対するBCG-CWSあるいはNocardia-CWSの胸腔内注入療法は, 胸水の消失と共に延命効果をもあげた.
剖検例に関する病理学的検査によると, BCG-CWS免疫療法は, 多発性血行転移抑制という癌に対する抵抗力を増強するのみならず, 一般細菌感染に対する抵抗力をも強めて, 延命効果を示すものと思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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