家政学雑誌
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市販小麦粉および小麦粉加工食品中のプロテアーゼ・インヒビターの存在と性質
小麦粉プロテアーゼ・インヒビターの調理・加工時の変化 (第1報)
光永 俊郎西 倫子清水 まゆみ
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1983 年 34 巻 5 号 p. 258-261

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抄録
市販小麦粉および小麦粉加工食品について, プロテアーゼ (トリプシンおよびα-キモトリプシン) ・インヒビター活性を測定した.小麦粉では強力粉, 薄力粉ともに両インヒビター活性が認められた.また, 各種小麦粉加工食品の多くに両インヒビター活性が存在した.しかし, マカロニ・素めんに比較して茄めん・パンなどはきわめて低い活性しか示さなかった.この小麦粉中のプロテアーゼ・インヒビター活性は, 温度・pHにより失活することが確認された.しかし, 調理・加工時のpH領域ではpHによる影響はないと推定される。これに対して, 熱による影響は温度が高いほど, また加熱時間が長いほど大きかった.また熱・pHに対しては, トリプシン・インヒビター活性よりα-キモトリプシン・インヒビター活性のほうが不安定であった.さらに熱変性により失活した活性の再生について調べたが, 両インヒビター活性とも再生しなかった.
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