抄録
国立療養所神奈川病院循環器科は, 慢性腎不全(血液透析, 腎移植), 心血管系(心手術)患者の治療を行つてきたが, 両者とも多量の輸血を必要とし, 輸血した場合, 副作用(肝炎の発生など)が高頻度で認められるため, 1974年からBlood Component Therapyということを心がけ, 副作用の少ない冷凍血液(緩速冷凍法による)の作製と使用を開始した. また, 1980年よりは, 更に副作用が少ないといわれている急速冷凍法を採用した.
1)血液透析患者の貧血の治療: 緩速法で9例, 25回, 102単位, 急速法で11例, 14回, 44単位と冷凍血液を使用した. 他の輸血剤(全血, 赤血球液)に比べ, 肝炎の発生はない.
2)心血管系患者の術中術後の輸血: 9例において手術時に使用(冷凍保存自家血のみ)した. 肝炎の発生はない. その他, 6例については, 作製保存中である. 今後も, Blood Component Therapyということを心がけ, 副作用の少ない冷凍血液を使用してゆくつもりである.