抄録
我々は独自に開発した回転椅子にシンチカメラ(Ohio Nuclear Σ 410S)とコンピユータ(シンチパツク1200)を組み合わせ, 横断シンチグラフイー(RCT)についての基礎実験を行つたのち肝診断への応用を試みた.
椅子は手動で10°ずつ回転させるようになつている. 36枚の画像を64×64で採取し, マイクロドットイメージヤーを介して128×128でX線フイルム上に描出させる方式をとつている. 採取データの補正には単純な対向投影データの幾何平均を行い, 画像の再構成にはShepp and Loganの補正関数にローパスフイルターをかけた重畳積分法を用いた. 集積像については1cm, 欠損像については, 2.4cmのものを描出できた.
37例の肝のRCTをとつたが, 最小の欠損像は2.4×1.8cmの血管腫で, これは通常のシンチグラム上には描出されなかつた. RCTで描出できなかつたものが3例あつたが, うち2例は病巣が横隔膜直下のものであつた.