抄録
腹部実質臓器に対してシンチグラフイーと超音波を施行し, 画像診断の特質について比較検討した.
肝については. 限局性変化を部位的に右葉, 左葉と肝下縁, 生理的圧痕部(肝静脈, 肝門部, 胆嚢床など)に分けると, (1)右葉については両者ともtrue positiveが80%以上でfalse negativeは少なかつた.(2)左葉と肝下縁, および(3)生理的圧痕部ではfalse positiveが80~90%とシンチグラフイーに多く, 超音波では少なかつた. さらに, 肝, 脾, 膵などのシンチグラフイーの欠損部の質的診断は困難なことが多かつたが, 超音波ではechoの性状よりそれがSolidかCysticかの質的診断は容易であつた. しかし, 目的臓器の全体像を把握するにはシンチグラフィーが極めてすぐれており, 核医学超音波複合診断法の有用性を確認した.