医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
RIによる肝癌の診断法について
照井 頒二川合 英夫福喜 多博義長岩 清之小山田 日吉丸
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 36 巻 2 号 p. 97-102

詳細
抄録
原発性肝癌25例に67Ga-citrateと99mTc-colloidによる2核種肝シンチグラムを施行し, コンピューター処理によつて, 67Ga像から, 99mTc像の引き算(Subtraction)を行い, 肝癌への67Gaの集積をより鮮明に描出することを試みた. サブトラクシヨン像は, 60%, 80%, 100%, 120%の4段階表示で行つた. 25例中24例(96%)がサブトラクシヨン像で67Gaの集積が陽性画像として描出された. 残る1例は, 手術後に, retrospectiveに, 右葉外縁に集積が確認された. 従来の67Gaシンチグラム単独の診断に比べて, 67Gaの集積が鮮明に描出され, その上, 健常と思われた肝内の小さな転移巣の診断も可能となつた. また80%のサブトラクシヨン像にROIを設定し, 肺/骨髄比を求めた. 平均0.84であつたが, 肝硬変合併例では, 1.07と高く, また肝硬変合併非切除例では, 1.3となつた. 以上より, サブトラクシヨン像にて, 肝癌の診断のみならず, 肝硬変の程度や手術の可否まで, 診断出来るようになつた.
著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
次の記事
feedback
Top