医療
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脳波自動解析法の開発
島薗 安雄
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1983 年 37 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

脳波を分析することによつて, その性質を明確にし, あるいは数量化する試みがいろいろとされてきた. その代表的なものには, 帯域フィルターによる周波数分析法, 相関分析法とフーリエパワースペクトル解析, 高速フーリエ変換法, 自己回帰法などがある. また平均加算法によつて誘発電位を観察することが広く行われている.
しかしこれらはいずれも脳波のある一部の性質を表示したり数値化したもので, 特定の観察目的には有用であるが, 脳波の諸性質を検討し, それらを総合して判定を行う, ルーチンの臨床脳波診断には役立つ点が少ない. そこで, 筆者らは, 従来から行われてきた肉眼的な脳波判読の方式をなるべく忠実にコンピュータ処理する(シミュレートする)装置を開発してきた. 今日までにほぼ完成したのは基礎活動(basic activity)に関するものであるが, この種の活動については一つ一つの波を全部計測し, 目的に応じて計算処理する本装置の方が, 原理的には, 人間の肉眼的観察よりもより正確であると考えられる.
その計測法の要点を紹介し, これを多数の健康人に使用して, 成人における正常値の範囲, 左右差, 年令に伴う変化と性差について得られた結果についてふれた. これらの結果は, 本装置を日常の臨床脳波診断に有効に利用するための基礎データとなるものである.

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