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ACNU髄液内濃度からみた脳腫瘍化学療法の検討
今川 健司川崎 道朗戸田 稲三林 誠之浅井 昭野村 隆吉
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1983 年 37 巻 1 号 p. 48-52

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抄録
脳腫瘍の化学療法にニトロソウレア系薬剤が用いられ, 実験的, 臨床的に有効であると報告されている. 今回, 我々は, 14例の脳腫瘍患者にACNU 100-150mgを静注し, 血液および髄液中のACNU濃度を測定した. 移行度に関する検討は次のごとく要約される.
1. ACNUの髄液中濃度は0-0.76μg/mlで, 移行率は, 腰椎採取で19.9%, 脳室採取で42%であつた.
2. 術後期間とACNUの髄液内移行率とは関連性を認めなかつた. 放射線療法中の症例では比較的高率な移行がみられた.
3. CT scanの所見とACNU髄液内移行率との関連性は見い出せなかつた.
4. ACNUの全身投与は, 寛解導入を目的として放射線療法と併用した方がよいと考えられる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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