医療
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ACNU, 60Co照射併用によるAstrocytomaの1治験例
―特にACNU投与法に関する考察―
宮坂 佳男別府 俊男松森 邦昭中山 賢司朝日 茂樹高野 尚治
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1983 年 37 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

症例は50才の女性. けいれん発作を主訴として来院. 神経学的に計算力低下と腱反射の左右差を認めた. CT scan, 左CAGにて左前頭, 側頭葉の脳腫瘍と診断し, 亜全別術を施行した. 組織学的にはastrocytoma (Grade II)であつた. 術後2週目にACNU 2mg/kg(total 100mg)を静注投与し, 同時にコバルト照射を開始した. 更に14日目にACNU 100mgを反復投与した. コバルト照射は1,940radで中止したが, ACNU投与38日目, 43日目に白血球数, 血小板数は各々, 500, 15,000/mm3とNadirを呈した. 合併症として, 両上肢の筋肉内膿瘍を併発し, 19カ月後の現在これに起因する両上肢の廃用性拘縮のため日常生活に著明な支障を来している.
本症例の経験からACNUの反復投与は初回投与より6週間程度, 血液像の推移を観察しながら成されるべきであることを強調したい. また自験例のACNUによる血液学的副作用の特徴の一つは白血球数のNadirが血小板数のNadirに先行したことであつた.

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