医療
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原発性肺癌患者における細胞性免疫学的指標の評価
藤井 昌史石川 盛寛石光 鉄三郎
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1983 年 37 巻 11 号 p. 1070-1074

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抄録
原発性肺癌患者46例について3種類の3MKCl抽出抗原液を用いた白血球遊走阻止テストを施行し, 肺癌患者の細胞性免疫応答を検討した. 腺癌抗原液では9例(19%), 扁平上皮癌抗原液では7例(15%), 小細胞癌抗原液では11例(24%)の患者が陽性を示し, 同種癌細胞に対する免疫応答が示され, 癌関連抗原の存在が示唆された. 臨床病期別では, 進展期症例に比し限局期症例に高い陽性率が得られた. 白血球のspontaneous migrationは健康人に比し肺癌患者において有意(p<0.01)の低下が認められた. 本テストと生存期間との関連ではテスト陰性群に比し陽性群において生存期間の延長が認められた. 以上より3MKCl抽出抗原を用いる白血球遊走阻止テストは, 肺癌患者の経過観察のために有用な免疫学的指標の一つとなり得ると考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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