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国立栃木病院外科における集検(X線)発見肺癌の臨床的検討
佐藤 正典野田 辰男神徳 純一
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キーワード: 肺癌, 集団検診
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1983 年 37 巻 12 号 p. 1217-1222

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抄録
当院外科の肺癌症例を従来の年1回の胸部X線による結核検診で発見された集検群と, 主に自覚症状で発見された非集検群に分け, 両者を対比しつつ臨床的に検討した. 集検群は全体の約25%で経年的に増加傾向はなく, 集検群のPerformance Status, 病期, 切除率などが非集検群より良好なため, 5年生存率も28.4%と非集検群の15.4%より有意に良かつた. しかし, 集検群の70%以上は肺野型で, その50%が病期I+IIであり, 末梢型早期癌も発見されているのに対して, 肺門型の90%以上は病期III+IVの進行癌で, 中心型早期癌は1例もなく, また, 男性肺癌の90%以上がBrinkman Index400以上の高度喫煙者であつた. 今後は高危険群に対して喀痰細胞診を併用した肺癌集検を実施し, 効率的に中心型早期癌を発見すると同時に, 禁煙などの肺癌予防対策に重点を置く必要がある.
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