医療
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関節症軟骨のムコ多糖
―生化学的比較分析―
鈴木 三夫
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1983 年 37 巻 3 号 p. 255-261

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抄録
目的: 関節症軟骨の崩壊・脱失と, 再生・修復機転との病態生理を, そのムコ多糖の面から捕捉しようと企図する.
方法: 股関節症 (原発性) および大腿骨頸部骨折の大腿骨頭より領域別に採取した軟骨の, パパイン蛋白分解酵素による水解物を, 生化学的に比較分析した.
結果: 1. ケラタン硫酸の著減 (荷重周辺部, 骨棘部軟骨), 2. glycosaminoglycan鎮長の増長 (荷重周辺部, 骨棘部軟骨) 3. コンドロイチン4/6硫酸比の低下 (荷重中央部残存軟骨, 同周辺部軟骨).
考案: 以上より, 関節症軟骨の崩壊と再生との生化学的背景において, 既存残存軟骨では, コンドロイチン硫酸とケラタン硫酸との比較的均等な脱失パタンを認めるに対し, 修復部の再生軟骨基質においては, その生合成の当初より, ケラタン硫酸の著減によるプロテオグリカンのaggregationの不安定さや, glycosaminoglycan鎖の代謝調節異常が内在し, これが同部の易磨耗生の要因をなすものと推論する.
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© 一般社団法人国立医療学会
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