脳と発達
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原著論文
脳低温/平温療法は難治性てんかん重積状態で発症する急性脳症による神経学的後遺症を低減する
中川 拓藤田 杏子佐治 洋介丸山 あずさ永瀬 裕朗
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2011 年 43 巻 6 号 p. 459-463

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抄録

 小児の発熱に伴う難治性てんかん重積状態 (febrile refractory status epilepticus, 以下fRSE) に対する抗けいれん薬持続投与下での脳低温/平温療法 (以下, 脳低温/平温療法) が神経学的後遺症に与える影響について検討することを目的とし, 2002年10月~2009年8月の間に当院PICUに入院したfRSE症例28例を発症後24時間以内に脳低温/平温療法を行った12例とその他の治療法を行った16例にわけ, 両群間での比較を行った. 脳低温/平温療法を行った群では, 予後不良例はなく, その他の治療法では, 16例中6例 (37.5%) が予後不良であった (p=0.024). 予後不良例の6例中5例がけいれん重積型脳症と診断された. 小児のfRSEに対する発症後24時間以内の脳低温/平温療法は, けいれん重積型脳症への進展を阻止し得ると考えられた.

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© 2011 一般社団法人日本小児神経学会
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