抄録
重症心身障害児施設入院患者23名(抗ケイレン剤服用者11名)を対象として, 井上らの方法による骨マイクロデンシトメトリー法で骨萎縮度の測定を行つた. 対象を患者の活動性に応じてグループ分けした場合, 自力による活動不能群の方が, 自力にょる移動は可能であるが, 独歩不能群に比べてMCI, ΔGSmin, ΔGSmax, ΣGS, ΣGS/DがP<0.05の有意差で低値であつた.
対象を抗ケイレン剤服用群と非服用群に分けて骨計測を行つた場合, 各指標について両群に有意差はなかつた.
ただし対象患者は, 全員カルシウム, vit. Dの添加を受けている. 重症心身障害児施設入院患者の骨変化を考える場合には, 抗ケイレン剤服用歴, 服用量, 服用している抗ケイレン剤の種類だけでなく, カルシウム, vit, D摂取量, 患者活動性, 日光暴露時間など多くの要素を考慮する必要があると思われる.