医療
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顎関節症の臨床的観察
宇野 公男土屋 梅佳森沢 真知子曽田 忠雄
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1983 年 37 巻 3 号 p. 275-280

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抄録

1980年7月から1981年5月までの11ヵ月間における顎関節症患者47例について, 性別, 年令, 発症の誘因, 臨床症状, 治療法およびその効果などについて臨床的観察を行つた. 層者は女性が多く, 年令は20才代, および30才が多かつた. 初発症状および主訴は, いずれも終痛が最も多く, 次いで開口障害, 関節雑音などであつた. 症状発現から来院までの期間は1~3ヵ月が最も多く, 最短3日, 最長8年であつた. 初診時の症状は終痛が最も多く, 半数の患者が, 獲痛, 開口障害, 雑音, 顎の偏位などの複数の症状が合併していた. 発症の誘因はさまざまであつたが, 誘因の不明なものも少なくなかつた. 治療は顎関節および周囲組織の負担軽減と薬物療法, 咀嚼指導などを行つたが, 症状の完全消失にはいたらず, 治療期間も長期にわたるものも多く, 本症の治療の困難を示していた.

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© 一般社団法人国立医療学会
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