抄録
筋ジストロフィー症Duchenne型の肺機能障害は, 経年的な骨格筋の筋原性萎縮の進行とともに, 呼吸筋の萎縮による慢性進行性の肺機能障害であり, 経過とともに肺機能が低下しその終末は呼吸不全に至る.
筋ジストロフィー症の末期像について個々の報告は多くみられるが, 昨年ごろより厚生省筋ジストロフィー症研究班において, 心肺機能の面, Rehabilitationの面, 看護の面から総合的にアプローチされてきたが, いまだ準呼吸不全, 呼吸不全として対処すべき治療・管理規準についても確立されていない. 国療川棚病院入所中の患者55例を対象として, その肺機能ならびに, 運動負荷後の換気・血液ガスの応答について, 又, 死亡例23例の末期像を検討し, 筋ジストロフィー症Duchenneの呼吸不全の病態と対策について知見を述べた.