抄録
内視鏡的に切除された177個の大腸腺腫および早期癌について, 病理学的検討を行つた. 早期癌は全体の約12%を占め, 内視鏡的ポリペクトミーの意義が確認された. 腺腫の異型度は, そのsizeが大きくなる程強くなり, また右側結腸, S状結腸にある腺腫が直腸のものに比し異型が強い傾向にあつた. 女性の腺腫は男性よりmalignant potentialが高く, 性ホルモンの関与が示唆された.
複数の腺腫および癌を持つ頻度は33.1%と高く, 1つの腺腫を見た場合は全結腸の精査が必要と考えられた.