医療
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内視鏡的ポリペクトミー後胃穿孔を来した胃平滑筋肉腫の1例
三宅 周岩本 龍夫村田 太郎上原 正照杉山 明河野 宏角南 昌隆佐々木 明榎本 正満荒木 文雄
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1984 年 38 巻 1 号 p. 80-84

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抄録

胃の非上皮性腫瘍は, 上皮性のものに比して頻度は低く, 全胃悪性腫瘍の1~4%といわれる. また, 術前に質的診断を下すことは困難なことが多い. 我々は, 術前に生検により診断され, 内視鏡的ポリペクトミーを施行した胃平滑筋肉腫の1例を経験した.
患者は76才男性で, 心窩部痛を主訴に昭和57年9月13日に入院し, 胃内視鏡検査上穹窿部に臍を有する粘膜下腫瘍を認め, 24日にこれをポリペクトミーしたところ, 中心に浅い潰瘍を有する径3.0×3.0cmの腫瘍が得られた. しかし, その後患者は苦悶状となり, 胃穿孔の診断の下に緊急手術となり, 術後経過良好にて, 10月25日に退院. この腫瘍の組織学的検査では, 平滑筋肉腫であつた.
本症例は, 大きさが5cm以下で巨大潰瘍がなかつたにかかわらず悪性であつた. 本疾患の治療法には手術, 化学療法, 放射線療法などが知られているが, ポリペクトミーにより切除された例は大変まれなので報告した.

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