医療
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国立療養所福岡東病院における慢性肝疾患治療の現況
広瀬 定吉諸富 郁夫
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1984 年 38 巻 1 号 p. 93-96

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抄録

1977年より国立療養所福岡東病院において肝疾患病棟を設置し, 慢性肝疾患主として肝硬変症の治療を行い, その自然経過と合併症について調べた. 偶然の機会に発見された潜在性肝硬変症が280例中約20%にみられ, 又それより発生したと思われる原発性肝細胞癌が少なからず存在した. 当院における肝硬変症の死亡原因の70%が肝細胞癌であることから, 潜在性肝硬変症の発見と肝細胞癌への対策が今後重要な課題と考えられた.
肝硬変症の自然経過には患者の性格, 環境, 及び生活態度などの外的因子が大き塗影響を及ぼしていることが推測された. 従つて肝硬変症をふくむ慢性肝疾患の治療には長年月にわたるきめ細かい生活指導と定期的な観察が必要であると結論した.

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