医療
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亜急性期における脳出血の吸引療法
上野 一義布村 充蝶野 吉美野村 三起夫
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1984 年 38 巻 11 号 p. 1050-1054

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抄録

脳出血に対して定位脳手術による血腫の吸引, 洗浄, ドレナージが行われるようになつた. われわれは定位脳手術によらずにCT上のorbito-meatal-lineと前額部正中からの距離により穿孔部位を決定し, 用手的に血腫の吸引のみを施行した. 手術時機は術中出血の危険性も少なく, 血腫の流動化する亜急性期(発症7日以後)としている, これまでに被殻出血3例, 視床出血4例に本法を施行したが, 被殻出血では全例に視床出血では2例に症状の改善をみた. 視床出血で改善率の悪いのは, 血腫による一次的脳損傷が強いためと思われる. われわれは被殻出血で完全片麻痺例には直ちに開頭術による血腫除去を, 不全麻痺例と視床出血に対してはまず保存的療法を行つている. 保存的療法で症状に改善のみられなかつた場合, 吸引療法を加えるわけである. 吸引療法を行うことにより脳出血の治療法は多様化され, 病態に応じた治療法を選ぶことが出来るようになつた

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