抄録
症例は8才の女児, 7才ごろから徐々に転倒しやすくなり, 左下肢の疼痛, 振戦, 内反尖足が出現し, その後右下肢にも内反尖足がみられるようになつた. 神経学的には痙性歩行, 内反尖足, 筋強剛, 上肢の姿勢時, 動作時振戦が認められ, 深部腱反射は亢進し, 以上の症状に著明な日内変動が認められたことから, 著明な日内変動を呈する遺伝性進行性ジストニア(HPD)と考え, L-DOPA800mg/日を経口投与したところ, 症状はほほ完全に消失した. しかしCT像にて前頭葉に軽度萎縮が認められたことより, 皮質-線条体投射にて前頭葉か線条体に影響を及ぼし, HPDの発現に関与している可能性について考察し, HPDにおける前頭葉病変の重要性を指摘した