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単科精神病院などから転入院してきた身体合併症患者の症例
清水 英利
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1984 年 38 巻 12 号 p. 1153-1159

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抄録

昭和40年9月から58年3月までに単科精神病院などから90名の身体合併症患者を転入院させた. 依頼施設は近接するすべての精神病院を含む9病院である. 年令は25以上65才未満までが83.4%を占め, 措置患者が48.9%を占める. 分裂病が最も多く64.4%, 中毒14.4%, 脳器質精神障害10%, てんかん5.6%であり, 身体合併症は外科53.3%, 内科と整形外科それぞれ12.2%, 婦人科7.8%で悪性腫瘍と骨折が多い. 処置は手術50%, 保存療法36.7%, 精査13.3%で, 外科の52.1%, 整形外科の72.2%が手術をした. 身体合併症の転帰は治ゆ63.3%, 軽快17.8%, 未治8.9%, 死亡10%である. 治ゆまたは軽快して元の病院に帰つたものが72.2%あり, 悪性腫瘍, 腹膜炎, 肺炎などで9名死亡した. 在院期間は比較的長く, 1週間をこえて3ヵ月以内が68.9%も占め, 3ヵ月をこえて6ヵ月以内という長期在院例が15.6%もある. この中には悪性腫瘍や大腿骨骨折などが多かつた.

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