医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
頭部通電けいれん療法(ECT)に対する一考察
2. 通電部位及び重積治療と不整脈
折橋 洋一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 38 巻 12 号 p. 1146-1152

詳細
抄録

挿管全身麻酔, 人工呼吸のもとで筋弛緩剤を用い, 各回に硫酸アトロピン0.5mgの前処置をして, 心電図と血圧が術前に復する約5分間おいて, 1日に3回ずつ, 前頭通電あるいは耳介通電でECTを行つた49症例の心電図で, 各々第1回の耳介通電40例, 前頭通電25例を比べると, ブロツク群, 心室性期外収縮及びその他の不整脈は, 延髄や間脳により多く電流が通ると考えられる耳介通電に頻度が多いが, その種類や消失する時間には変りはない. 又, 重積治療の耳介通電32例, 前頭通電25例では, 条件は同じであるのに, 回数を重ねるにつれて不整脈はより少なくなるか, あるいはあらわれなくなり, これは通電刺激に対する中枢神経系の慣れ, あるいは防御機制の強化を考えせしめた.
ECTは危機回避の治療手段でもあり, 耳介通電, 重積治療には, 各々の利点があり, 充分な管理と方法の選択及び厳しい症例の選択という条件のもとで再評価したい.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top