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9番染色体の二次狭窄部が欠失した重度精神発達遅滞児の1症例
金田 鈴江
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1984 年 38 巻 12 号 p. 1170-1173

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抄録

9番染色体の長腕の欠失(9q-)の報告が, 1972年, Newton et al. によつて行われて以来, 現在までに7例が報告されている. 本邦ではまだ報告がみられていない.
当院では重症心身障害児にみられる染色体異常の頻度をその種類を知ることを目的に, 入院中の患児について染色体学的研究を行つているが, これまでに行つた染色体検査例のうち1例に, 9番染色体の長腕の欠失したものが見出されたのでここに報告する.
症例は重度精神発達遅滞, 身体及び言語の発達遅滞, てんかん, 行動異常を呈するが, 異形, 奇形などの臨床症状の認められない15才男子である. 染色体検査の結果9番染色体の長腕の短い(9q-)ことが見出され, Gバンド分染法による核型分析の結果, 二次狭窄部分が欠失している(46, XY, del(9)(q11q13)ことが明らかにされた.

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