医療
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抗てんかん剤服用者の妊娠および出産について
清水 章子山口 啓子山田 堅一杉山 由樹稲熊 順子武田 明夫
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1984 年 38 巻 12 号 p. 1180-1183

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抄録

てんかん患者50例の83妊娠の調査から次の結果を得た.
(1)対象の自然流産率は19.3%, 奇形発生率は9.0%であり, その内容としては心房中隔欠損2例, 斜頸, 停留睾丸, 二分脊椎, 口唇口蓋裂が各1例みられた.
(2)妊娠中のけいれん発作の頻度の高いものが自然流産をおこす率が高かつた.
(3)自然流産と奇形発生はともに服薬剤数が多くなるほど高率になる傾向がみられた.
(4)薬剤別奇形発生率ではTMOが著しく高率であつた.
(5)各薬剤の1日平均服用量は奇形のみられた群が奇形のみられなかつた群よりも多い傾向がみられた.
以上から, TMOは妊娠には使うべきでなく, 他の薬剤については最も有効な薬物を単剤で最少有効量で投与することが望ましいと思われる.

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