医療
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慢性経過をとつた外傷性横隔膜ヘルニアの1手術治験例
大滝 正己中田 誠介美濃地 忠彦田村 栄稔跡部 正明北村 信夫遠藤 省三河原 勉
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1984 年 38 巻 12 号 p. 1194-1196

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抄録

8年前に外傷性横隔膜ヘルニアをおこし, 急性期の症状が明らかでなかつたが, 最近になりイレウス症状, 心不全症状を呈してきた症例に外科的治療を行い良好な結果を得たので報告する.
症例は60才, 女性. 昭和49年夏ごろ, 子供に左側腹部を蹴られたが特に症状がなかつたため放置した. しかし, 1ヵ月後より腹痛, 腹部膨満, 便秘, 悪心, 嘔吐などのイレウス症状がおこり, 某院にて外傷性横隔膜ヘルニアと診断された. 昭和56年の春ごろより胸痛, 呼吸困難, 動悸などの心不全症状があらわれたため, 同年11月横隔膜ヘルニアに対する外科治療を目的として当科に入院した. 手術所見では左横隔膜肋骨部が線維性にひ薄化し, その部分で横行結腸が嵌頓していた. 横隔膜に対しては二重重層形成術を施行し, 横行結腸は腹腔内に還納した. 術後イレウス症状, 心不全症状は軽快し, 約1ヵ月後に退院した.

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