癌による広範囲の難治性疼痛を訴える12名の入院患者に対して, 持続硬膜外モルヒネ注入を行つた. 本法は従来の鎮痛法と比べ広範囲の疼痛に有効であり, 長時間にわたつて作用するにもかかわらず副作用も軽微で合併症も少なかつた. 除痛効果については無効例はなく, 著効を示したものは50%であつた. しかし副作用については66%の患者で訴えがなく, 訴えがあつてもすべて軽微であつた. 呼吸循環系の抑制の有無については, 血圧, 脈拍, 動脈血ガスを測定したが, 大きな変化を示すものはなかつた. また持続硬膜外プロツクに際して, 問題となる硬膜外カテーテルの長期留置に関しては, カテーテル先端とカテーテル挿入部皮膚の細菌学的検索を行つたが菌を検出しなかつた. 持続硬膜外モルヒネ注入法は, 効果および安全性の点から優れた鎮痛法であり, 癌に起因する疼痛に対して適切な方法といえる.