医療
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最近における結核の諸問題
臨床検査の立場から
柴田 正弘
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1984 年 38 巻 4 号 p. 366-370

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抄録

最近における結核の諸問題について臨床検査の立場から次の点について述べた.
1)入院時薬剤耐性試験では, 末治療薬剤耐性の頻度は(不完全耐性を含む), INH 0.1mcg/mlで23%, 5mcg/mlで5.7%, RFP 50mcg/mlで12%, SM20mcg/mlで8%であつた. 再治療群ではそれぞれおおむね40%に耐性を示した.
RFPについてみると, 間接(マイクロタイター法)に比べて, 直接法による耐性頻度が高かつた.
2)塗抹陽性, 培養陰性菌のすべてが死滅した菌ではなく, 培養期間の延長あるいはADC添加によつて, それらの約20%に菌の生育を認め得た.
3)非定型放酸菌についての関心を深め, 簡易同定法を積極的に利用すべきである.
4)結核患者における血液ガス測定が少なくなり, 慢性呼吸不全の急性増悪に際して緊急検査態勢の充実が望ましい.

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© 一般社団法人国立医療学会
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