1984 年 38 巻 4 号 p. 371-372
当院における肺結核症の病像の推移を, 病理形態学的側面から検索した. 臨床的背景として, 疾患の長期化, 死亡年令の高令化, 死因の変化, さらに非結核性合併症, とくに成人病の増加傾向が注目された. 肺の結核性病巣は, 肉眼的には, 空洞型, 乾酪型, 硬化型が主で, 症例により, これら病型が複雑に混在し, 多彩な所見を呈している. 一方, 呼吸床, 血管床の減少, 消失に影響された, 心重量の増加は目立つ所見である. 肺外結核は抗結核剤使用により, 結核菌の血行性, 管内性散布がおさえられて, ほとんど消失している. したがつて, 強力な抗結核薬の登場により, 結核症の病像は質的な変化を来している.