医療
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Compromised hostからの肺結核の発病について
小西池 穣一
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1984 年 38 巻 4 号 p. 377-382

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抄録
compromised hostすなわち抵抗力の減弱した個体からの肺結核の発病の要因, 頻度と実態について検討を加えた. 過去6年間に退院した患者3782例のうち, 合併症を有する1110例(29.3%)を抽出したが, このうちcompromised hostから肺結核が発病したと考えられたのは28例(2.5%)であつた. 内訳は男15, 女13, 平均年令56才で, 基礎疾患は悪性腫瘍(術後), 膠原病, 気管支喘息, 肝疾患, 糖尿病, 腎不全が主たるもので, 副腎皮質ホルモン使用は9例(32.1%)に認められた. 発病は急性型が多く, 初回発病22例, 再発6例であつた.
化学療法により, 予後は一般に良好である.
転帰として, 結核死は1例のみで, 他の10例の死因は基礎疾患または他の感染症によるものであつた. compromised hostからの肺結核の発病は誤診の危険率が高いので, 鑑別診断には常に肺結核を念頭におくことが肝要である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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