医療
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帝王切開の適応に関する検討
国立仙台病院における過去7年間の帝王切開525例の適応に関する統計的考察
島 功池野 暢子渡辺 正昭遠藤 紘高橋 克幸
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キーワード: 帝切率, 胎児仮死, 骨盤位, 難産
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1984 年 38 巻 7 号 p. 666-671

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抄録

最近, 帝王切開術の施行率(以下「帝切率」と略)は内外を問わず年々増加の一途をたどつていることは周知の事実である. この帝切率上昇の主因は, 近代周産期医学の発展に伴う胎児生命の価値観の変化に基づく当然の結果として, 胎児生命とその予後とを重視した胎児側因子の適応の増加によるものである. 反面, 麻酔学の発達による帝切の安全性の向上と, 胎児仮死を始めとする胎児側帝切適応の拡大とにより, 社会的適応とも称すべき予防的帝切の頻度が上昇傾向にあることも否定できない.
以上の観点より, 適正な帝切施行の適応基準を検討する意味において, 当院における過去7年間の帝切施行525症例に関して, その適応および適応関連因子について調査を行つた. また, 今後もさらに増加の傾向を示すであろう社会的適応としての帝切の安易な上昇を防ぐ意味から, 帝切の主要因と考えられる胎児仮死, 骨盤位, 難産の問題に関して解説を試みた.

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