抄録
顔面神経麻痺後に, 下部表情筋の作用と同時に不随意に瞼裂が狭くなる異常連合運動は, Marin Amat症候群として知られているが, 眼瞼挙筋をも含めて充分に筋電図学的検討を加えた報告は極めて少ない. 今回筋電図によつて確定診断できたMarin Amat症候群の1例を報告する. 症例; 75才の男性. 昭和49年右末梢性顔面神経麻痺に罹患, 1ヵ月後に口を閉じる, 口をとがらす, 口笛を吹く作用で瞼裂が狭小するのを自覚, 筋電図検査では口輪筋の収縮と完全に発現時期の一致した眼輪筋の活動電位が認められ, 更に上眼瞼挙筋の収縮と一致した口輪筋の活動電位が認められたことから, 上眼瞼挙筋の弛緩によるparadoxical levator inhibitionではなく, 顔面神経内の異常連合運動であるMarin Amat症候群と確定診断することができた.