医療
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転移性頸椎腫瘍の外科的治療の成績に影響する因子
竹松 宏関 寛之飯島 卓夫
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1985 年 39 巻 8 号 p. 707-711

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抄録
転移性脊椎腫易27例中13例に手術を行つた. このうち麻痺の改善を目的とした例は8例で, 全例とも術前は歩行不能であつた. 罹患脊椎高位は, 頸椎3例, 胸椎5例で, 歩行退院できた有効例は頸椎3例, 胸椎1例で, 頸椎転移例の手術成績が良好であつた. 頸椎転移の症例は, 68才女性, 甲状腺癌のC2転移, 48才女性乳癌のC6, 7, Th1転移, 46才女性乳癌のC7, Th1転移の3例である. 頸椎例の好成績の要因は, その解剖学的特殊性にあると考えられる. すなわち, 椎体に転移巣ができると, 脊柱の変形や不安性を生じやすく, 広範囲な硬膜外腫瘍を形成する前に骨性圧迫により麻痺を生じ脊椎転移の早期に手術する機会を得る. また除圧や支持性の再建などの手術操作がしやすい点もある. 全身状態がよく, 脊椎転移後も予後の比較的長い乳癌, 甲状腺癌, 前立腺癌などの頸椎転移による麻痺例には積極的に手術適応を考慮すべきと考える.
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© 一般社団法人国立医療学会
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