抄録
症例は60才男性. 突然の意識障害と頭痛で発症. CTでは, 両側シルビウス裂, 半球間裂を中心として高吸収域を認め, 脳血管撮影上, 左前大脳動脈A1部に窓形成と, その近位分岐部に嚢状動脈瘤がみられた. クモ膜下出血発症後36日目に, 動脈瘤クリツピング術が行われ, その際, 左前大脳動脈の窓形成及びその近位端より生じた動脈瘤を確認した. 脳副脈の窓形成自体は, 決してまれなものではないが, 窓形成部自体に生じた脳動脈瘤はまれであり, 現在まで, 当症例を含めて15例が報告されているにすぎない. 窓形成近位分岐部の中膜欠損, 内膜・内弾性板の退行変性などの血管壁の要因に加えて, hemodynamic stressが動脈瘤の成因に強く関与していると考えられる.