医療
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クモ膜下出血様発作にて発症した脳腫瘍出血の1例
―CT所見を中心に―
甲州 啓二桑山 直也園部 真冨永 悌二高橋 慎一郎池尻 公二
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キーワード: 脳腫瘍, 出血, CTスキヤン
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1986 年 40 巻 1 号 p. 60-63

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抄録
臨床経過からは, 内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤破裂によるクモ膜下出血が疑われた脳腫瘍出血の1例を報告する. 患者は31才男性で, 突然, 激しい右前頭部痛を自覚, 次第に右動眼神経麻痺も出現したため, 当科を受診した. 頭部X線CTスキヤンにて右前頭葉内に血腫を認め, 一部は硬膜下血腫も形成していた. 血腫周辺にはCE陽性部も認められた. 脳腫瘍出血と診断, 緊急手術を施行し, 血腫並びに腫瘍成分の摘出, 減圧を行つた. 組織像はastrocytomaであつた. 患者は, 術後に化学療法, 放射線療法を施行し, 何らの神経脱落徴候なく自宅退院した.
脳腫瘍出血のCT像の報告はまだ多くはなく, その特徴に関しては今後の研究が待たれるが, 今回の我々の症例はその一助となると思われる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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