抄録
経尿道的前立腺切除術(TUR-P)の術後合併症として, しばしば尿道狭窄を経験する.
今回我々は過去6年間に実施したTUR-P症例を対象とし, 発生頻度ならびに尿道狭窄の発生因子について若干の検討を行つた.
TUR-P術後の尿道狭窄は244症例中14例(5.7%)にみられた.
尿道狭窄の発生に関わる事項としては, 尿路感染と手術時間とを比較検討した.
尿路感染と尿道狭窄の発生については, 感染群および非感染群ともに発生率に差はみられなかつたが, 手術時間との関係をみると手術時間90分を越える症例の狭窄発生率は, それ以下のものにくらべて2倍以上にも達しており, 長時間の手術が尿道狭窄の発生因子となり得ることを示唆している.
本論文では発生機序に関しても若干め考察を行い, 尿道狭窄の防止策についても言及した.