医療
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脳卒中片麻痺とリハビリテーシヨン
第3報 肺機能
遠山 有能宮地 直恒小園江 和之山本 高史
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1986 年 40 巻 12 号 p. 1127-1132

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抄録
当院で加療中の片麻痺患者のうち, 24例について肺機能検査の検討を行つた. (1) %VCは平均値ではほぼ正常値を示したが, 約1/3は正常値以下であつた. (2) %MVVは21例が正常値以下で, 平均値も56に過ぎなかつた. (3) 1秒率, 動脈血ガス分析では両者ともほぼ正常値を示した. 胸部断面CT像について胸郭断面積の呼吸比は, 患側ではほとんど動きが認められず, 胸囲の呼吸差も例外なく患側の値が低く, 呼吸筋の筋電図でも明らかな健患差が認められた. %VCと%MVVは脳出血群に比し脳梗塞群に低値をとるものが多く, また歩行可能群に比し車いす装具群に低値をとるものが多かつた. すなわち片麻痺患者で麻痺側の呼吸筋の機能低下があり, 胸郭の運動が制限され, そのために拘束性障害がおこる可能性があるが, リハビリ訓練により上下肢の機能が回復すればその程度に応じて呼吸機能も回復する傾向がうかがわれる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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