医療
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ポジトロン核医学の呼吸器疾患への臨床応用
鈴木 恒雄矢加部 茂竹尾 貞徳前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
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キーワード: 肺機能, ブドウ糖消費量
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1986 年 40 巻 2 号 p. 104-115

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抄録
イギリス, ハーマースミス病院でのPETの呼吸器領域への臨床応用を紹介する. ポジトロン核医学の最大の利点は, 画像に定量性があることであり, トレイサーの生体内の減衰を補正するためにおこなわれるトランスミツシヨンより, 肺密度, 肺胞気量が得られる. また11CO吸入より肺血液量を得られ, それに係数をかけて肺密度より引くと肺血管外密度が求められる. 肺密度は正常で0.29±0.08g/cm3である. 間質性肺疾患では肺血管外密度が増加している. 19Neの持続吸入にて局所のV/Vを求めることができ, 13Nを生食にとかして持続静注すると局所のV/Qを求めることができる. 正常肺ではV/Vは重力存依性で下方肺で大きく, V/Qは上方肺で大きい. しかし喘息肺では, その傾向は消失している. またFDGにて局所肺のブドウ糖消費量を求めることができる. 正常肺では2.5μmol/g/hrであるが間質性肺炎, サルコイドーシスでは大きく, 5.1μmol/g/hrであつた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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