抄録
実験的肺肉芽腫とACEの関連を検討するために, ウサギにBCG-cell wallを直接肺内に注入して肉芽腫を作成し, 血清ACE活性, 肉芽腫内ACE活性を測定した. BCG-cell wallを注入することにより, 肺には小指頭大~拇指頭大の肉芽腫形成を認めた. 組織学的には, 初期にはマクロフアージ, 多核白血球, リンパ球などの浸潤がみられ, 次第に類上皮細胞に置き替つて行つた.
血清ACE活性は, cell wall注入後2週目には有意に低下したが, 以後次第に前値に復し, 10週には前値より高値を示す例もみられたが, 全体として有意の差は認められなかつた. 肉芽腫内のACE活性は90~320nmol/g/minと, 肺組織の6000~8000nmol/g/minに比して相当低値で, ヒトサルコイドリンパ節の800~1300nmol/g/minに比しても低値であつた.
この成績は類上皮細胞の活性化の程度に差があるのではないかと推定された.