1986 年 40 巻 4 号 p. 310-313
自己免疫性皮膚疾患のなかでも比較的遭遇する機会の少ない症例について, 真皮表皮境界部におけるin vivoの免疫グロブリン沈着の局在を電顕的に検索した. 症例は疱疹状皮膚炎, 多発性モルフエア, D-ペニシラミンによる天疱瘡様皮疹, 深在性エリテマトーデスの各1例であり, 4症例いずれも直接免疫蛍光法にて真皮表皮境界部にin vivoで免疫グロブリンの線状の沈着が認められた. 電顕的な局在としては, 第1例ではIgAがlamina lucidaと真皮最上部に, 第2例ではIgMが真皮最上部に, 第3例ではIgGがlamina lucidaに, 第4例ではIgG, Mが真皮最上部に認められた. すなわち4症例とも光顕的には同一の部位に沈着が認められたが, 電顕的に観察することにより局在のちがいが明らかになつた. この事実は将来真皮表皮境界部の免疫グロブリン沈着の電顕的局在検索が, これらの皮膚疾患の診断に応用される可能性を示唆している.