医療
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マウス体内におけるOfloxacinの抗結核菌作用
東村 道雄水野 松司外山 春雄前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
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キーワード: マウス, 抗結核菌作用
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1986 年 40 巻 4 号 p. 314-318

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抄録

Ofloxacin(DL 8280)の肺結核に対する治療効果については前に報告したが, マウスでの実験結果では治療効果を発揮しなかつた(Fig. 1). この原因は, 実験条件で結核菌が増殖しえなかつたためか(抗結核剤は通常増殖しつつある菌に対してのみ作用する), またはofloxacinがマゥス体内から急速に排泄されることが考えられた. そこで, マウスの肺, 脾, 肝, 腎中のofloxacin濃度を測定してみると, 200μg/mouse(6mg/kg)の皮下注射では, 臓器中にofloxacinの活性を見出しえず, 1mg/mouseの腹腔内注射でようやく短時間の有効濃度が得られることが分つた(Fig. 2). 比較的高い臓器濃度は肝と腎でえられた. そこで, 次の研究では, ofloxacinを毎日1mg(42mg/kg)腹腔内注射して, 肝内の結核菌生菌数を数えてみた. その結果, ofloxacinは, マウス肝内で結核菌の発育を抑制することが分り, マウス体内でも十分な量を与えれば有効であると思われた. この結核菌に対する発育阻止作用は, 結核菌が増殖する時に有効に作用するものと思われる(Fig. 4).

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