抄録
痙攣重積状態を呈したバルプロ酸(VPA)服用中の症例でacetazolamide(Diamox: 以下「DX」と略)の大量投与により著明に改善した症例を経験した.
症例1(TH): 14才男児で脳性麻痺, 精神発達遅滞, 全身性強直性間代性痙攣(GTC)がある. 上気道炎罹患後に痙攣重積状態となりdiazepam無効であつたが, VPA投与量は変更せずに, 大量DX(60mg/kg/日)にて痙攣は止まつた.
症例2(HM): 23才男性でLennox症候群, 精神発達遅滞. 抗痙攣剤変更中に重積状態となり, diazepamでやや改善したがGTC頻発するため, VPA投与量は変更せずに, DX大量投与を行いGTCは消失した.
diazepam静注が痙攣重積状態では第1選択剤であるが, これが無効または効果が低い時でもVPA+DX大量療法は著効を示した.