医療
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本態性高血圧症患者の長期管理における教育入院の効果について
佐々木 昭子中村 雄二岸本 道太前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
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1986 年 40 巻 4 号 p. 356-360

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抄録
本態性高血圧症(EH)にて入院した患者の, 退院後の塩分摂取状況(Na)および服薬成績につき追跡調査し, その効果につき検討した. 過去5年間に当院に入院したEH 116例を対象とし, 無記名アンケート調査を施行し, 96例(83%)を回収した. また47例につき外来受診時スポツト尿のナトリウム排泄量(Sp-Na)を測定した. その結果は, 1)Naは厳重に制限22%, やや制限73%, 制限せず5%で, 厳重に制限している例ほどSp-Naは低い傾向があり, Sp-Naの平均値は103.1±39.6(SD)mEq/Lで, 1カ月後に22例で検討したその再現性はr=0.85(P<0.001)であつた. 2)服薬成績は指示通り78%, 時々忘れる19%, よく忘れる3%であり, 3回/日内服の方が1回/日に比し内服成績が優れていた. 以上の結果から入院を経験したEHの退院後調査では減塩が継続している例が多く, Sp-Naに再現性が認められ, また内服成績は3回/日の方が優れており, EHにおける教育入院が長期降圧治療の一環として意義あるものと考えられた.
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