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合併症のないPneumocyslis carinii Pneumoniaの1成人剖検例
森 博志牧野 英一郎小原 強
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1987 年 41 巻 10 号 p. 882-885

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抄録

基礎疾患のないPneumocystis carinii pneumonia (Pc肺炎)の成人剖検例を報告した.
37才, 女, 扁摘術既往あり. 1974年ころより舌根部に白苔付着し咽頭部掻痒感持続. 高度の副鼻腔炎あり. しかし薬剤長期使用歴はない. 1978年9月7日初診. 主訴のほか発熱, 咳, 呼吸困難増悪し, 9月28日入院した. 白血球29700, うちリンパ球70%, 胸部X線上全肺野びまん性すりガラス様陰影増強, 肺門リンパ腺腫大あり. 副腎皮質ホルモン, 抗生剤, γ-グロフリン併療加療したが入院2週後10月11日, 呼吸不全で死亡した. 剖検にて, 肺は実質臓器様で含気に乏しく, 胸腔内リンパ腺腫大あり. 肺胞内には全域にエオジン好性物質充填し, その中にPc嚢子が多数存在した.
ツ反応, 真菌皮内反応陰性, T-cell減少など免疫不全が示唆されるが, その原因は不明である.

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